宮崎駿 引退撤回! 新作長編アニメ始動!
もう何度目だよという感じの引退撤回だけど、みんなわかっているはず。宮崎駿は死ぬまで創作しつづける、そういうサガを背負った人間なのだということを。
「未来少年コナン」
1978年、NHKで放映されたテレビ・シリーズ。宮崎駿の初演出作品。
スケージュルの過密さから、各話ごとに出来不出来の差があるのが当然だった当時の、週一放送されるテレビアニメにおいて、この完成度の高さにはおどろかされる。
時に小気味好く、時にコミカルなコナンのアクションに一喜一憂する娯楽作ではあるが、その底には反文明社会、自然回帰といったのちのちに通じるテーマがすでにしっかりと描かれている。そしてまたヒロイン、ラナへの愛情もしっかりと。
「カリオストロの城」
宮崎駿38歳にして、映画初監督作品。それまでにつちかってきたテクニックの集大成であり、総決算。
とにかくエンタメに徹しており、コミカルな動きで笑わせるスラップスティックな要素あり、冒険活劇要素あり、怪奇趣味要素あり、高い塔に幽閉された美少女要素あり、と好きなものを全て詰め込んだような内容で何度観てもあきない。
全ての面においてバランスのいい作品ではあるが、唯一、ヒロインであるクラリスに寄せる思い入れは、逸脱しかねいほどに過剰。しかしそれこそが宮崎駿の個性なのだろう。
ワイド判 風の谷のナウシカ 全7巻函入りセット 「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)
- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2003/10/31
- メディア: コミック
- 購入: 92人 クリック: 775回
- この商品を含むブログ (343件) を見る
「風の谷のナウシカ (漫画)」
漫画の方が個人的には好き。というか漫画版のナウシカには宮崎駿の全てがある。
荒廃した未来。毒ガスをはなつ腐敗した森。汚染された大地。異形な植物や昆虫が支配する中、滅びゆく人類。しかしそのなかにあってもなお、憎しみあい殺しあう人間たち。これすなわち宮崎駿の心象風景である。
この漫画を通して、宮崎駿の魂は深い絶望の中をさまよい、ついにわずかな希望を見つける。というところで、とりあえずこの物語は幕をとじる。
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
- 発売日: 2010/07/14
- メディア: Blu-ray
- 購入: 10人 クリック: 597回
- この商品を含むブログ (53件) を見る
「風の谷のナウシカ (映画)」
漫画の最初期の部分をまとめたアニメ映画版。漫画を読んでしまうと、その広大な世界観のほんの一部分を描いただけで物足りなく感じてしまう。
しかしそれでもこれ一本で観ても、満足いくように作られているのはさすがの手腕。
爽快なアクション。なんのかんの言っても、感動してしまうラスト。など脂ののった宮崎駿の演出力は確かなものだ。
「天空の城ラピュタ」
コナン、ルパンにあったアクションシーンを、さらに煮詰めて極めたような、宮崎流冒険活劇アニメの決定版。
とはいえそこは駿。その裏にしっかりと反文明社会、自然回帰というテーマが顔をのぞかせている。
そしてここでもまた美少女ヒロイン、シータへの過剰なほどの思い入れが。
おまけで、トトロまで入れてもいいけど。個人的に宮崎駿はここまで。その後の作品も観てるけど、もうかつてほどの思い入れはなくなってしまった。
とはいえ次作はやっぱり気になるし、観に行くと思うけどね。