腱鞘炎になって思うこと

腱鞘炎による右手首の痛みが、ようやくこの頃おさまって、ほっとしている。
思えば二ヶ月以上もこれに悩まされてきたわけで、今はプータローの境遇だからよかったものの、この状態で仕事をしなければならない、と思うと、ほんとしゃれにならない。
一時期は、重いものをもったり、かかえたりというということはもちろん。キーボードをうつことも、マウスをクリックすることすらも困難な状態にあったのだから。


そもそもの経緯を紹介しておくと、直前までやっていた、工場での夜勤勤務。
仕事内容は、ベルトコンベアに乗って流れてくるプラスチック製のふたを、手でとって。その表面と裏面を、大きなよごれや傷がないかを黙視して、指定された箱につめる。といった単純な作業のくりかえしなのだが、この検査のさいにおこなう、手首のひねりを多様するしぐさが、腱鞘炎の原因だったと思われる。


不思議なもので、仕事をしていた期間は、痛みは発症することもなく、契約終了して仕事をやめた途端に、痛みはじめた。
ほかに代わりの人もいないという職場の状況、自身もお金が必要で休んでなどいられないという都合。などによって、気が張っていたせいなのだろうか。こころの持ちようによって、無意識に痛みさえもコントロールしていたと考えると、人体の神秘という言葉を思い浮かべずにいられない。


 で、辞めた直後は、手首をひねると、ズキンと痛みがはしる。という程度だったのが、日ごとに大きくなって、一ヶ月たったあたりが、ピークだったろうか。ほんの少しでも手首をひねると、激痛がつらぬくという感じになってしまい、まるで使い物にならなくなってしまった。マジで日常生活に支障をきたすレベルである。
そんな状態がさらに一ヶ月ちかく続いて、これ、このまま治らないんじゃね? と整形医外科医に行くことを真剣に考えはじめた、数日前ほどから、急速に痛みがうすれていった。


今もまだ、多少の違和感はのこっているし、手首に大きい負担がかかると、ズキンとくるものの、とりあえずは大丈夫な状態となっている。
思えば小さい頃より、病弱なタイプではあったものの、身体の柔軟性はあったのか、骨折、ねんざ、くじいたりとか、いったこととは無縁で、その痛みがどんなものか、まるで知らずにきたけれど、なってみると、なるほど、これはつらいものだな、と。はじめて、プロスポーツ選手で身体に支障をきたして苦しんでいる人の気持ちがわかった気がする。こうしたことは本当に、自分がなってみないとわからないものだ。


ネットで調べてみると、腱鞘炎にもいくつか、種類というものがあって、手指が痛むばね指、親指のつけ根から、手の甲にかけてが痛むデケルバン氏病、ひじから手首にそって痛むテニスひじというものがあって、ボクの場合は、デケルバン氏病という、腱鞘炎のなかではポピュラーな病気があてはまるようだった。
 結局のところ、治療法というのは、サポーターなどをして、とにかく動かさず、安静にしているということしかないようだ。
しかし、まぁ、人によってはそんな状態であろうとも、無理して働かなければならないという人もいるわけで、そうした人はどうしたらいいのだろうと、思わずにいられない。
ともあれ、腱鞘炎、なめてかかると大変だということで。筆をおく。