アナログ・レコードを楽しもう!

 今、アナログ・レコードの人気が再燃しているそうです。世界中でもその年間売上は近年、とみに上昇しているとのこと。
 なぜ今更? というか、そもそもアナログ・レコードとはどんなものか、若い世代は知っているのだろうか?
 簡単に言うとレコードとは、直径30センチ、ビニール樹脂製の円盤状にほられた溝を、針が通ることで起こる振動を、アンプで増幅して音を出すメディアということになります。
 1950年代ころよりビニール盤が普及し、以後40年近く最盛をほこりますが、80年代後半に、CDにその座をうばわれたあと、急速に衰退の道をたどり、絶滅したかに思われていたのが、昨今、急速に盛り返してきたというわけです。
 またどうせ、金のあまった親父世代が、懐古趣味で盛り上がってるだけだろう、と思っていたのですが、どうやらレコードを買っている主な層は35歳以下の若い世代だということでした。

 世にある物は今やすべてがデジタルにとって変わられ、何でもかんでもデータ化していく時代となりました。音楽ももちろん、その例外ではありません。
 もはやCDが売れなくなってひさしく、音楽配信、そして定額で聴きたい放題という形態に移行しています。
 音楽が好きで、とにかく色々なジャンル、ミュージシャンを聴いてみたいという人には、まさに天国のような状況ではありますが、まぁ、どうなんでしょう? そのお手軽さ、いつでも聴けるということがネックとなって、僕の場合、逆に聴かなくなっているように思います。
 しかもたまに聴く場合にも、パソコンで、もしくスマフォで、貧弱なスピーカー、または付属のイヤフォンで、ながら聞きをするという感じで。音楽と一対一で向き合って、真剣に聴くなんてことは皆無になってしまいました。

 一方アナログの時代はどうだったでしょう? 手間がかかるといえば確かにその通りでした。
 レコードをジャケットから取り出し、ホコリ取りスプレーをかけて盤面をふきとって、プレーヤーに乗せて、針をおとす。約20分前後で片面がおわれば、それを裏返し、また針をおとして……と、レコード一枚を聴き終えるのに、そうした一種儀式めいた作業を常にしなければならなかったわけです。
 そもそも曲をとばすのも大変でした。針をあげて、お気に入りの曲に移動させ、ちょうど始まる手前で針を落とすというのは、なかなか集中力のいる作業だったわけです。
 そんな調子ですから、自然とレコード一枚を聴くには、まるまる音と向き合わねばならないのでした。ながら聞きにこれほど向いていないメディアもないでしょう。

 しかし、これが今となっては新鮮に思えます。わざわざ音楽を聴く時間をもうけて、スピーカと向き合って。音楽に耳をかたむけつつ、ジャケットをながめたり、ついてくるライナーノーツに目を通したり、または目をとじて、音世界にひたったり。考えてみれば、それって、とても贅沢な時間ではないでしょうか。
 CDやパソコンで聴くのと違い、曲をスキップするのも、上記にのべた通り一苦労なので、自然とそのまま通して聴くことで、アルバム一枚通して、その流れを楽しむこともできますし、嫌いだと思ってた曲が、何度も聴くうちに、その良さがわかって、お気に入りになってしまうこともありました。そうした扱いにくさが、自分の中の音楽的幅を広げてくれていたわけです。
 そして何と言ってもアナログ・レコードの良さは、レコードを収納しているジャケット。カバーアートを楽しめるところでしょう。
 特にビートルズ以降、ロックが一世を風靡していた60年代後半から70年代にかけては、どのミュージシャンもジャケットに力をいれていて、非常にこったジャケットが生み出され、さながらそれ自体がひとつのアート作品のようでした。これらを所有するという楽しみもまたレコード購買のひとつの魅力だったわけです。

 こうした美点が、やたらとデジタル化されて、味気のなくなった現在、若い世代に見直されているのかもしれません。
 と言うわけで、僕もまたアナログ・レコードの世界に久しぶりにひたってみようか、と思ったものの、すでにレコードプレーヤーなんてないし。かといって今さら大げさなセットを一通りそろえるのも面倒だし、お金もかかります。そこで目をつけたのが、がION AUDIOのレコードプレーヤーでした。
 これのよいところは、まず値段がお手ごろであること。そしてデザインが良いこと。スピーカーがついていて、それ一台でことたりるオールインワン製品であるということ。最後にUSB端子がついていて、音声をデジタルに変換可能であるということ。ですね。
 昨今のレコードブームのあおりを受けて、需要があるのか、ここ最近でさらに種類もふえていて、どれが自分に適しているのか、それぞれの違いを確認してみました。
 まずは初代として世に出た「Archive LP」。

ION Audio Archive LP レコードプレーヤー USB端子 スピーカー内蔵

ION Audio Archive LP レコードプレーヤー USB端子 スピーカー内蔵

 

 値段もこなれて、お買い得感があり、USB端子、RC音声端子がついて、これを買えばオッケーといいたいところなんですが、ふたつばかりネックがあって、それはヘッドフォンジャックがないところと、カバーがついてないところ。ヘッドフォンが使えないのと、ほっとくとほこりがつもりまくりってのは……ちょっといやじゃないですか?(気にしない方ならいいですが)ここがかなりのマイナス・ポイント。
 といった意見が、やはり多かったのでしょうか。その後、しばらくして発売されたのが、上記製品にカバーをつけて、ヘッドフォンジャックもついたモデル「Max Lp」。

ION Audio Max LP レコードプレーヤー USB端子 スピーカー内蔵

ION Audio Max LP レコードプレーヤー USB端子 スピーカー内蔵

 

 その他の機能はおそらく前モデルと同じと思われます。というわけでこれで決まり。といいたいところですが、ネックはお値段が高めのところ。上記製品より約2000円近くかかってしまいます。カバー+ヘッドフォンジャックがついただけでプラス2000円……。ちょっとためらってしまいますよね。
 そこで個人的にいいと思ったのが、次のこれ「Vinyl Motion」。

ION Audio Vinyl Motion レコードプレーヤー スーツケース型 バッテリー内蔵 USB端子

ION Audio Vinyl Motion レコードプレーヤー スーツケース型 バッテリー内蔵 USB端子

 

 何とスーツケース型のモデル。値段もなんと、「Archive LP」とほとんど変わらず。
 何よりも良いところは、使用しない時は、蓋をとじて、縦置きにして、しまっておけるところでしょう。これはかなりの高ポイントではないでしょうか。もちろん、USB端子、ヘッドフォンジャック、RC音声端子もついていますし、選ぶならこれしかないと思ったんですが、これにもまたひとつネックが。それは何と電源アダプタが付属してないところ。電源はUSB端子を通じて、内臓するバッテリーに充電する方式なのです。でも今時USBアダプタなんて100円ショップでも手に入るし、それにUSBケーブルをつなげば、電源確保は問題なし。と考えると、やはりオススメはこれかなという気がします。 
 あ、あと注意しておきたいのは、このION AUDIOからはまた最近、あたらしくスーツケース型レコード・プレーヤーが出ておりまして。「Vinyl Transport」という名称なんですけれど。

f:id:juju68-sn:20170809132046j:plain

 これ、見た目は非常によく似ておりますが、入出力端子に違いがあって、USB端子なし、(何故か)ヘッドフォンジャックなし(代わりに電源アダプタは付属)。というモデルになっておりますので、くれぐれもお間違えなきように。

 で、肝心のソフト。音源は何を聴くかということですが、それはもう個人の自由ということで。
 しかし唯一紹介しておきたいのが、こちらビートルズBox。

ザ・ビートルズBOX [Analog]

ザ・ビートルズBOX [Analog]

 

  全アルバムは高いし、いらないという方には、分冊百貨マガジンのディアスゴティーニから出る。ザ・ビートルズ・LPレコード・コレクション。八月末より隔週で発売されるよう。

 これ、なかなか興味深いシリーズですね。音源はアビイ・ロードスタジオでリマスタリングされたものを使用しているということだから、問題ないとは思いますけど。
 個人的には全部いらないけど、「サージェント・ペパーズ」は気になりますね。レコードで聴いておきたいアルバムだし。この有名なジャケットアートも、飾っておきたじゃないですか。

 というところで、興味がある方はぜひ、アナログ・レコードの世界に飛び込んでみましょう。