ネット本買取サービス 「買取王子」

 日本、いや世界中どこへでも、車一台で移動して気ままに暮らしたい。というのが昔からの夢だった。
 とにかく身軽になりたいのだ。しかし、そうした生き方をするにはあまりに私は持ち物が多すぎる。
 というわけで、しばらく前から断捨離しようと物の処分につとめてきたのだが……。どうにもうまく進んでいかない。元来なまけもので、なおかつ飽きっぽいので、ちょっとやっては止めてしまうのだ。
 しかしここ数ヶ月コロナで長期におよぶ自粛期間を過ごすことになったのを機に、ひさしぶりに重い腰をあげてみることにした。

 でクローゼットなどから一通り、外に出してならべてみると、一番のネックは私の場合、やはり本だった。

 ※本の写真
 漫画、小説。この二種類がそのほとんどで、一時期は漫画家もしくは小説家を志していた私としは、これらは楽しむためという以上に、教科書でもあったので、そうおいそれと捨てるわけにはいかなかったのだ。
しかしさすがにそうした夢も遠くに過ぎ去り、ほとんどの本は読み返す気もないものばかりなので、処分することにした。
今回はネット買取で処分することにした。
 検索してみるといくつかおすすめの業者サイトが表示された。「買取王子」「ネットオフ」「リコマース」「Vaboo」などなど。で今回はなかでも評判がよさそうな「買取王子」にしてみた。

f:id:juju68-sn:20200813174840p:plain
 まずは会員登録。名前、住所、電話番号など個人情報をフォームにそって記入して会員になっておこう。(ちなみに会員にならずともゲスト扱いで買取は可能だ)

f:id:juju68-sn:20200813175249p:plain

 そして記入者が私本人であると証明するために、マイ・カード、運転免許証、保険証のいずれか身元を証明するものを写真に撮り、それを指定先にアップロードする。

 一見面倒そうだが、これらはやってみれば簡単で、スマフォのカメラを利用して撮影し、指定されたエリアにアップロードすればいいだけだ。

f:id:juju68-sn:20200813175318j:plain
 最後に自分の顔写真を同じくスマフォのカメラで自撮りし、同じ場所にアップロード。以上で完了である。
 翌日には確認完了のメールがとどき、あとは引き取り指定日を待てばいい。
*箱詰め写真
 次に先方に送る本を段ボールに詰めていく。買取王子はこの段ボールも希望すれば無料で支給してもらうことができるので大変に便利だ。私の場合は今回、ちょうどいい大きさの空き段ボールがあったので利用しなかった。
 指定日に佐賀急便から受け取りにきた配達員さんに玄関口で段ボール箱を渡すと、受け取りの証明書をくれる。契約が成立するまで保管しておこう。
*証明書写真
 これでおしまいだ。とくにサインをしたり、説明する必要もなかった。

 さて送ってから五日ほどたって査定完了のメールが届いた。買取金額は……74円! 五十冊近い本の買取金額がたったの74円。低すぎるっ! と思ったものの、まぁこんなものなのだろう。いかにも価値のなさそうなよごれた文庫本が主体だったのだから仕方ない。
 納得いかなければ、無料で返品してもらうこともできるが、もどってきても私の場合あれなので、了承の旨のメールを返答する。
 するとすぐにアマゾンのギフト・コードナンバーの記されたメールが送られてきた。買取により生じたお金は、銀行振込、アマゾンギフト換金と三つ用意されており、私はアマゾン換金を選択したのだ。

 というわけで買取金額こそ満足のいくものではなかったが、買取終了までの過程は実にスムーズで、問題になるところはなかった。よくできたシステムだ。利用する価値はあるだろう。

詩、みたいなもの。あるいは、ただの愚痴。

f:id:juju68-sn:20190113152845j:plain

 人と会話をしながら私は思う。思わずにいられない。
 みんな自分のことが大好きなんだなーって。もう自慢したくてしょうがないんだなーって。
 いや、別に悪いことじゃない。自分のことを好きなのは、ぜんぜん悪いことじゃない。むしろいいことだ。
 ほら、よく言うではないか。自分を愛せない人間が、他人を愛せるものか、とか。実際、その通りだと思う。
 でも、ね。さすがにうんざりしてくる。なんども自慢話を聞かせられると。
 じゃ、会話しなきゃいいじゃん、とか思うけど。イライラしながらも、なんとなくつきあっちゃうんだよね。
 私ってマゾかもしれない。くやしがっている、その状況をどこかで楽しんでいるのかも。
 いいけど。いや、よくないか。
 というか、かくいう私も、無意識のうちに、人との会話のなかで、自慢しているかもしれないし。多分、そう。人はおそらく、自画自賛せずにいられない生き物なのだ。
 そうして集団の中において、自分の立ち位置を確認する。人とくらべて、どこのランクに属しているかを知ることで、ようやく安心できるのだ。
 それは競争社会の弊害だろうか?
 これまではずっと、社会の作り出した学校、そこでおこなわれている教育システムが、その原因であるとずっと思い込んでいた。
 けれど、そうじゃない。それは、人が集まり、生活していく過程において、自然とできあがっていったものなのだ。
 つまりは人は無意識に、それをもとめているのだろう。おそらく自分自身でさえも。
 そのように現在の教育システムができあがったのだとすれば、私は誰も責めることができずに、だまりこむしかない。
 どこにも、たおすべき敵などいなかったのだ。破壊するべき壁などなかったのである。

 ずっとこの日本という社会が生きにくいと感じていた。
 人のあつまるなかで、かならずおこる競争、差別、格付け。
 そうしたもののなかに組み込まれたくないし、誰かに負かされたくないし、打ち負かしたくもない。
 というわけで、私は気づくといつも、そこから逃げ出していた。
 でも結局逃げ切れるものではないと気づく。一人では、生き抜くことはできないのだ。どこかで、折り合いをつけるしかない。
 そこで私は一つの仮面をかぶり、おどけてみせる。知らぬふりを通す。
 あいつ、変わってんな。ちょっと変な人だよね。
 あくまでも嫌われない程度に、そうしたキャラを演じ続ける。私がこの社会で生き抜くにはそれしかないのだ。
 それはいつまで続くのだろう?
 おわりは? ……ない。生きているかぎり、それは続く。
 解放されたければ、この世からおさらばするしかないけれど。勇気も決断力もない私にはそれもできない。
 この気持ちわかってくれる人はいるだろうか?
 わからない人はしあわせだ。
 そしてわかってくれる人は、同情を禁じ得ない。なぜならあなたも同様に、きっと不幸な人だから。

YMOのベスト・アルバムが(また)出たぞ

 気がつくと、またもYMOベスト・アルバムが出ていた。タイトルは「NEUE TANZ」。

NEUE TANZ

  1. 開け心 (ymo)
  2. BALLET (高橋)
  3. RIOT IN LAGOS (坂本)
  4. THE MADMEN (細野)
  5. GLASS (高橋)
  6. NEUE TANZ (YMO
  7. COMOUFLAGE (高橋)
  8. PURE JAM (高橋)
  9. SIMOON (細野)
  10. CUE (高橋・細野)
  11. FIRECRACKER (マーティン・デニー
  12. MULTIPLIES (エルマー・バーンスタインYMO
  13. SPORTS MEN (細野)
  14. TAISO (坂本)
  15. 千のナイフ (坂本)
  16. NICE AGE (高橋)


 結成40周年、過去のオリジナル・アルバムもまた新たにリマスターされて発売されるということで、その兼ね合いからか、ベストもあらためてつくっとこうという感じだろうか。

 今回の目玉は、監修、選曲にテイ・トウワ。リマスターにまりんこと砂原良徳を起用した、YMOチルドレンが関わっている点だ。
 さらにその曲目リストを見てびっくり。なかなか攻めた内容になっている。何しろ、「君に胸キュン」はもちろん、「テクノポリス」も「東風」も、そして「ライディーン」すらはいっていない。中心になっているのは、通うけすると言われる中期2枚のアルバム「BGM」「テクノデリック」の楽曲だ。
 しかも同時期に出ていた、メンバー3人のソロ・アルバムから、それぞれ一曲ずつセレクトされているという、意表のつきっぷり。
 正直どうなんだろう? と思ったが、通して聴いてみると、まぁこれもありかな、という感じ。
 というか、あまたあるYMOのベスト盤、結局選ばれるのは、いつも同じ曲ばかりになってしまうのだから、こういう変化球もありだ。
 ダークな雰囲気にまとめられた、今作のトーンは今の時代に合っているような気がしてくるし、全体にしっかりと、テイ・トウワの個性が感じられるのがさすがだ。
 そしてまりんによるリマスターだが、昨今流行りなのだろうか、アナログ・レコードを思わせる、やわらかな音像で、空間の広がりを感じさせるものになっている。確かに、やったかいのある、これまでと違った印象があって悪くない。すでに音源を所有している往年のファンも一聴の価値はある。

 とはいえ、さすがに代表曲のない今作は初心者向きのベストではないと思う。
 初めての人になら、以前に出たベスト盤。「UC」か「YMO GO HOME」。共に普通に代表曲がおさめられた、二枚をすすめる。
 「UC」は2003年発表。監修、選曲を坂本龍一。リマスターをテッド・ジャンセンが担当している。

UC YMO [Ultimate Collection of Yellow Magic Orchestra](Blu-spec CD)【完全生産限定盤】

DISC 1

  1. COMPUTER GAME "THEME FROM THE CIRCUS" (YMO)
  2. FIRECRACKER (マーティン・デニー
  3. 東風 (坂本)
  4. 中国女 (高橋)
  5. TECHNOPOLIS (坂本)
  6. INSOMNIA (細野)
  7. RYDEEN (高橋)
  8. BEHINDE THE MASK (坂本)
  9. SOLID STATE SURVIVOR (高橋)
  10. RADIO JUNK (高橋)
  11. JINGLE Y.M.O. (YMO
  12. NICE AGE (高橋)
  13. TIGHTEN UP (アーチー・ベル)
  14. THE END OF ASIA (坂本)
  15. CITIZENZ OF SCIENCE (坂本)
  16. 開け心 (YMO

DISC 2

  1. CUE (高橋・細野)
  2. BALLET (高橋)
  3. U.T (YMO
  4. GRADATED GREY (細野)
  5. TAISO (坂本)
  6. 恋人よ我に帰れ (しぐモンド・ロンバーグ)
  7. 君に胸キュン (YMO
  8. CHAOS PANIC (細野)
  9. ONGAKU (坂本)
  10. LOUTUS LOVE (細野)
  11. 邂逅 (坂本)
  12. 過激な淑女 (YMO
  13. THE MADMEN (細野)
  14. 以心電信 (YMO
  15. PERSPECTIVE (坂本)
  16. M-16 (YMO
  17. ポケットが虹でいっぱい (フレッド・アイズ・ベン・ウェイズマン)
  18. BEHIND THE MASK (坂本)


 選ばれた曲が、途中にレア音源などをまじえながら、年代順に並べられた、単純な構成をしており、正直、おもしろみは感じられない。が、初心者にはこのほうが、わかりやすくていいのだろう。
 個人的には「M-16」という、YMO写真集「ピリオド」にふろくCDとして入っていた曲が聞けてよかった。
 メンバー3人の作曲した楽曲がバランスよく、選ばれてはいるが、なんとなく、坂本龍一の曲が目立つという印象が残るのがおもしろい。
 テッド・ジャンセンによるリマスターは、デジタル臭が強いというか、各楽器がくっきりと浮かび上がるような、解像度の高い音になった印象で、好みはわかれると思うが、こちらも一聴の価値はある。

 しかし個人的には「YMO GO HOME」の方がおすすめである。

YMO GO HOME

DISC1

  1. JINGLE Y.M.O (YMO
  2. RYDEEN (高橋)
  3. BEHIND THE MASK (坂本)
  4. INSOMNIA (細野)
  5. CUE (高橋・細野)
  6. U.T (YMO
  7. NICE AGE (高橋)
  8. TAISO (坂本)
  9. COSMIC SURFIN' (細野)
  10. 以心電信 (YMO
  11. ポケットが虹でいっぱい (フレッド・アイズ・ベン・ウェイズマン)
  12. 東風 (坂本)
  13. 中国女 (高橋)
  14. FIRE CRACKER (まーティン・デニー

DISC2

  1. MULTIPLIES (YMO
  2. TIGHTEN UP (アーチー・ベル)
  3. SIMOON (細野)
  4. CITIZENZ OF SCIENCE (坂本・高橋)
  5. COMOUFLAGE (高橋)
  6. GRADATED GREY (細野)
  7. PURE JAM (高橋)
  8. LOTUS LOVE (細野)
  9. 君に胸キュン (YMO
  10. SHADOWS ON THE GROUNDE (坂本・高橋)
  11. BEA SUPERMAN (坂本・高橋)
  12. WHERE HAVE ALL THE FLOWERS GONE? (ピート・シーガー
  13. TECHNOPOLIS (坂本)
  14. THE END OF ASIA (坂本)

 こちらは1999年に出た、細野晴臣、監修、選曲。リマスタリングを小池光夫が担当したベスト。
 細野氏がDJをするがごとく、年代順にこだわらず、縦横無尽に曲がならび、その流れが実に、個性が感じられて興味深い。
 おそらくこの時期の細野氏の気分だったのだろう。スネークマンショウのコントがはさみこまれた、ミニ・アルバム「増殖」から多く選ばれているのが大きな特徴で、そのせいか全体的に、明るくユーモラスな雰囲気のただようアルバムになっている。
 こちらもまたメンバーそれぞれの曲が均等に選ばれているが、また不思議と細野氏の楽曲が印象に残る。
 一方、YMOのオリジナル・アルバムにエンジニアとして参加していた、小池光夫氏によるリマスタリングは、変に音をいじりすぎない自然なもので、今聴いても違和感はなく、個人的にはいちばん好みかもしれない。
 という感じで、どのベストにも共通しているのは、選曲者の顔がその裏に透けて見えてくるところ。何を選び、どう並べるのかで、印象がまったく違ってくるのだ。

 

ベスト盤では選ばれにくい曲をならべて、個人的なYMOベストを制作してみました。

ぜひ聞いてみてください。

YMOウラ・ベスト on Spotify

 

「追補編・70年代女性アイドル」

 一応、前回は、80年代というくくりでアルバムを選んでみたので、それにもれた、70年代のお気に入りアルバムのほうを、また新たに紹介していきたいと思う。

 一枚目は、桜田淳子の「しあわせ芝居」。

しあわせ芝居(11th)+α(紙ジャケット仕様)

1. しあわせ芝居 作詞・中島みゆき 作曲・中島みゆき 編曲・船山基紀
2. グッドバイ・ルート    作詞・橋本淳 作曲・穂口雄右 編曲・村松邦男
3. 黄昏通り 作詞・三浦徳子 作曲・馬飼野康二 編曲・村松邦男
4. バイ・バイ・パーティー 作詞・高橋幸宏 作曲・高橋信幸 編曲・村松邦男
5. 晩秋   作詞・穂口雄右 作曲・穂口雄右 編曲・村松邦男
6. 遠くに行かないで   作詞・松本隆 作曲・石川鷹彦 編曲・村松邦男
7. ベージュのソファー   作詞・三浦徳子 作曲・馬飼野康二 編曲・村松邦男
8. キャンドル・ライト   作詞・ちあき哲也 作曲・木村弘清 編曲・村松邦男

9. 青春の一番長い日 作詞・阿久悠 作曲・穂口雄右 編曲・村松邦男
10. メイビー・ハッピー 作詞・ちあき哲也 作曲・ヒロ柳田 編曲・村松邦男
11 .レディーズ・ルーム   作詞・橋本淳 作曲・穂口雄右 編曲・村松邦男

1977.12


 といっても、リアルタイムで体験しているわけでもないので、正直、思い入れも何もない。が、例によってsoptifyにはいっていたので、オリジナル・アルバムのいくつかを聴いてみた。そんな中、一枚通して聴けるな、好みに合うな、と感じたのが今作だった。
 発表されたのは、1977年12月で、この時期、ライバルともいえる存在の山口百恵は、宇崎竜童の夫婦コンビによる楽曲を歌い、アイドルから脱皮、一人の女性歌手としての個性を確率しつつあった。それに対抗してということだろう、桜田淳子側は、なんと中島みゆきを引っ張り込んできた。
 当時、今よりさらに、ダークでアングラな雰囲気をまとっていた中島みゆきを、天真爛漫、優等生的イメージだった桜田淳子にぶつけるというのは、かなりの冒険だったはずだが、彼女の別の面、大人の部分を引き出すのに成功している。セールス的にも、うまくいったようだ。
 先に出された、このシングル「しあわせ芝居」が、今作の核となっているためだろう、少しおくれて出た、このアルバムも、「淳子も大人になりました」という感じで、少しかげりのある、憂いをおびたアダルティな仕上がりになっている。
 AOR風、ミドルテンポの落ちついた曲が中心で、冬の夜、あたたかい紅茶でも飲みながら、しんみりと聞きたい感じ。一枚のアルバムとしてのまとまりもよく、個人的にはかなりお気に入りとなった。

 二枚目は岩崎宏美の「ファンタジー」。

ファンタジー+10(紙ジャケット仕様)

1. パピヨン 作詞・阿久悠 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
2. キャンパス・ガール   作詞・阿久悠 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
3. ファンタジー 作詞・阿久悠 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
4. 愛よ、おやすみ 作詞・ちあき哲也 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
5. 感傷的   作詞・阿久悠 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
6. おしゃれな感情   作詞・ちあき哲也 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
7. ひとりぼっちの部屋   作詞・穂口雄右 作曲・穂口雄右 編曲・穂口雄右
8. グッド・ナイト   作詞・穂口雄右 作曲・穂口雄右 編曲・穂口雄右
9. 月のしずくで 作詞・阿久悠 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平
10 .センチメンタル   作詞・阿久悠 作曲・筒美京平 編曲・筒美京平

1976.2


 こちらは1976年に出た、彼女のオリジナル・アルバムとしては2枚目。
 デビューしてすぐに、大ヒットをとばし、今作におさめられている、サード・シングル「センチメンタル」もオリコンチャートで一位をとっているという時期だから、勢いがちがう。
 今作も何やら、浮足だつような、当時のホットな空気が封じ込められて、しらずに気分が上がっていくのがわかる。
 楽曲は数曲をのぞき、大半を阿久悠筒美京平によるコンビが担当。昭和歌謡界において、外すことのできない、巨大な存在、天才作詞家と天才作曲家である二人が全面的に関わっているのだから、当然のことクオリティは高い。
 当時はやっていたディスコの意匠をまとった、フィリーソウル風味のポップスでまとめている。そこへ歌謡曲調の、口ずさみたくなるような、京平氏お得意のキャッチーなメロディ、阿久悠の情感ただよう歌詞がのっているのだから、悪くなるはずがないのだ。
 もちろん、岩崎宏美は、それらを難なく歌い上げている。当時彼女は若干17歳! その安定感、あぶなげのなさは、すでに貫禄がただよい、余裕すらうかがわせるのだから、おそるべき才能である。
 そもそも彼女をアイドルという、範疇に入れていいものか、その外見からしても疑問で、すでに完成したベテラン女性歌手というオーラさえ感じられる。
 そして面白いのはこのアルバム、曲間に、糸井五郎という当時人気のあったラジオDJによる、曲紹介、おしゃべりが収録されているところ。はっきり言って、今聞くと、微妙だが、一周回ってアリだな、と思えなくもない。にしても、一回聞けば十分で、あとは正直、邪魔である。
 しかし、気の利いたことに、今作は、同時にDJなしバージョンも収録されており、問題はない。
 岩崎宏美に興味がある人はもちろん、阿久悠筒美京平ファンをも満足させてくれる、このアルバムは名盤だ、と言い切ってしまっていいだろう。

 ということで、今回は70年代の女性アイドルのお気に入りアルバムを紹介させていただいた。参考になれば幸いである。
 以上です。

80年代女性アイドルのおすすめアルバム 4選

 唐突だけど、80年代の女性アイドルの中で個人的に好きな、オリジナル・アルバムを紹介してみたい。
 80年代歌謡曲の特徴というと、製作陣にこれまでの職業作曲家によるものでない、いわゆるニューミュージック系のシンガーソングライターが多く、参入してくる点だ。
 松田聖子を例にあげればわかりやすい。その作曲陣には、チューリップの財津和夫ユーミン大滝詠一細野晴臣といった、ニューミュージック界の大物がのきなみそろっている。
 この松田聖子が80年代前期のアイドルの基準となっているせいだろうか、同時期のアイドルは、ニューミュージック系のシンガソングライターから楽曲を提供してもらうのが流行りのようになっていた。
 だから正直、そのアイドル自身に興味がなくとも、誰それが提供をしているから、聴いてみたい、なんて曲も数多くあったのだ。
 これがシングル曲ならまだよかった。しかしアルバム収録曲ともなると、そう簡単に聴く機会もなく、かといって、それらすべてをチェックする財力もなく、ということで、あきらめざるをえなかった。
 それが数十年の月日が流れ、今ではストリーミング配信を通じて、そうしたアルバムが聴けるようになったのだ。ありがたいことである。
 というわけで、早速それらを片っ端から聴いてみた。そして気に入ったものを、ここで紹介してみようと思う。

 一枚目は早見優の「ラナイ」。

LANAI

1. 逢いたい気分 作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
2. Sail In The Sunset    作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
3. Summer Holy Night 作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
4. ロコ・サーファー 作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
5. Someonu's Boy   作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
6. Rainy Boy   作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
7. Still Remember You   作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
8. You're So Shy   作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
9. オレンジ・ムーンの恋 作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男
10 .Cover The Moon   作詞・三浦徳子 作曲・亀井登志夫 編曲・村松邦男

1983.5

 

 さんざん、ニュージック系のシンガーソングライターが、とか書いておいて何だけど、今作は全て職業作家さんのペンになるものだった。(安倍恭弘をのぞく)
 それはともかく夏をテーマに、ティーンエイジャーの揺れる乙女心を描いた本作は、どの楽曲も明るく、さわやかで、聞いていると、理想の夏休みを仮想体験できる。
 アイドル・ソングがいいのは、むずかしいこと考えず、頭を空っぽに楽しめるところだ。そうした意味で今作はよくできている。

 そしておどろくべきは、今作にシングル曲がふくまれていないこと。
 早見優出世作にして、代表曲の「夏色のナンシー」が、直前にリリースされているにも関わらず、今作には入っていないのだ。アイドルのアルバムとしてはあり得ないことである。つまりそれだけ製作スタッフは、ヒットシングルがなくても、勝負できるだけの自信を今作に持っていたのだろう。
 アイドル、夏のアルバムとして、今作は松田聖子「パイナップル」ならぶすばらしい内容だ。

 二枚目は河合奈保子の「サマー・デリカシー」。

Summer Delicacy

1. 太陽の下のストレンジャー 作詞・売野雅勇 作曲・八神純子 編曲・鷺巣詩郎
2. 街角    作詞・八神純子 作曲・八神純子 編曲・鷺巣詩郎
3. 夏の日の恋 作詞・三浦徳子 作曲・八神純子 編曲・大村雅朗
4. My Boy 作詞・八神純子 作曲・八神純子 編曲・大村雅朗
5. 幻の夏   作詞・売野雅勇 作曲・八神純子 編曲・鷺巣詩郎
6. メビウスのためいき   作詞・来生えつこ 作曲・来生たかお 編曲・大村雅朗
7. 気をつけて夏   作詞・来生えつこ 作曲・来生たかお 編曲・大村雅朗
8. 潮風の約束   作詞・来生えつこ 作曲・来生たかお 編曲・大村雅朗
9. 疑問符 作詞・来生えつこ 作曲・来生たかお 編曲・大村雅朗
10 .涼しい影   作詞・来生えつこ 作曲・来生たかお 編曲・大村雅朗

1984.6


 やはりアイドルには、総じて夏のアルバムができがいいようだ。今作もそうで、これまた、夏のリゾート、避暑地で過ごす夏、という感じ。
 発表されたのは、84年。オリジナル・アルバムとしては8作目。デビューして四年目ということもあってか、そろそろかわいいだけのアイドルから脱皮して、一人の女性歌手として、独自のカラーを打ち出していきたい、との意味合いもあるのだろう。大人びた、しっとりした雰囲気のアルバムに仕上がっている。
 作曲陣は、八神純子来生たかおの二人が半分づつ担当。
 意外なのは八神純子。シンガーとしての印象が強くあるせいだろう、作曲家としても活躍していたんだ、という驚きがあった。曲調としてアップテンポのものが多く、悪くない。
 そして来生たかおは80年代のアイドルの多くに曲を提供している人で、当時を語るうえではかかせない存在だ。今作においても、シングルを始め、スタッフ陣の意向に見事にこたえる、大人びた、しっとりとした楽曲を提供している。今作のアルバムの雰囲気を決定づけているのは彼の楽曲だろう。
 先にあげた早見優の「ラナイ」が昼間だとすれば、今作は夏の夕暮れから夜にかけての雰囲気が濃厚だ。

 三枚目は柏原よしえ「ラスター」。

LUSTER+2(紙ジャケット仕様)

1. もっとタイトに I Love You 作詞・秋元康 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
2. 白いヘリコプター    作詞・下田逸郎 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
3. Look Back もう一度 作詞・銀色夏生 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
4. トレモロ 作詞・松本隆 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
5. 涙が Deja Vu   作詞・秋元康 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
6. Quiet Boy   作詞・下田逸郎 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
7. エトランゼ   作詞・下田逸郎 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
8. 海岸線   作詞・松本隆 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
9. カフェバー・ドンファン 作詞・秋元康 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀
10 .フィンガー   作詞・秋元康 作曲・筒美京平 編曲・船山基紀

1984.4


 全作曲を筒美京平、アレンジを船山基紀、といった布陣で製作され、歌謡曲にテクノを取り入れた、最初期のアルバムとして、一部では高い評価を得ているアルバムだ。
 ずっと気になっていたんだけど、CDを買うほどでもないかな、と見送っていた。それがようやく聴くことができたわけだ。
 なるほど。テクノ歌謡として、よくできている。
 筒美京平のつむぐキャッチーなメロディは実にテクノとマッチしているが、キーとなるのは、やはりアレンジを担当した船山基紀だろう。
 音楽業界においては、当時すでに名の知れた、トップ・アレンジャーの一人だったわけだが、時代の潮流に敏感に反応し、いち早くアメリカでフェアライトを習得した、向上心にあふれた人だったようだ。
 その後、帰国、フェアライトを導入し、本格的に取り組んだアルバムがこれということで、気合が入っていて、聞き応えがある。
 そしてまた、これに応えて歌う、柏原芳恵も、器用に歌いこなしているのはさすがである。というか、河合奈保子にしろ、柏原芳恵にしろ、あらためて今聞くと、実に歌がうまかったのだと気づく。

 そして次の彼女もまた歌がうまい。四枚目、岩崎良美「セシル」。

Cécile

1. Vacance 作詞・青木 作曲・パンタ 編曲・清水信之
2. 愛してモナムール    作詞・安井かずみ 作曲・加藤和彦 編曲・清水信之
3. カメリアの花咲く丘 作詞・安井かずみ 作曲・加藤和彦 編曲・清水信之
4. 想い出Rainbow 作詞・なかにし礼 作曲・パンタ 編曲・清水信之
5. そしてフィナーレ   作詞・竜真知子 作曲・藤崎良 編曲・大村雅朗
6. どきどき旅行   作詞・安井かずみ 作曲・加藤和彦 編曲・清水信之
7. 初めてのミント・カクテル   作詞・安井かずみ 作曲・加藤和彦 編曲・清水信之
8. 雨の停車場   作詞・大貫妙子 作曲・大貫妙子 編曲・船山基紀
9. 私の恋は印象派 作詞・安井かずみ 作曲・加藤和彦 編曲・清水信之
10 .Telefonade   作詞・岩室先子 作曲・清水信之 編曲・清水信之

1982.6


 彼女に関しては、岩崎宏美の妹、そしてタッチの主題歌の人という以外、これといって印象はなかった。
 今聞くと、歌もうまいし、シングルになった曲も悪くないのだが、いまひとつ波に乗り切れずに、ブレイクしそこねた感じがある。  
 というわけで、まったく、チェックしていなかったのだが、とある音楽ブログで紹介されていて、気になってスポティファイで聞いてみたら、すぐに気に入ってしまった。
 幾人かの曲提供者の中で、中心となっている、加藤和彦の曲が特にいい。「どきどき旅行」とかコミカルな感じがして最高である。
 加藤和彦もこの時期は、けっこうアイドルに曲を提供して、どれもクオリティは高いのだが、不思議とヒット曲は少ない。唯一、飯島真理の「愛・おぼえていますか」がチャートインしたくらいだろうか。
 どうも提供するアイドルのチョイスを読み誤っていた、という気がするのだが、この辺は謎である。
 で、アルバムの印象はジャケットから推察される通りの、避暑地で過ごすバブリーな夏、といったところで、これまたテーマは夏。
 というか改めて並べてみると、私は、夏にテーマにした、しっとりとした雰囲気のアルバムが好きだと気づいた。そしていずれも歌が上手いアイドルばかり。結局、私の場合、アイドルとはいっても、求めているのは外見よりも歌唱力なのだろう。
 といったところで、80年代女性アイドルのアルバムを四枚紹介させてもらった。あくまで個人の好みなので、誰もが気にいるとはかぎらないが、「spotify」などで聞けるので、気楽に耳をかたむけてみてほしい。そしてこれがきっかけとなって、また新たな音楽にあなたが出会えることができたなら、これ以上の喜びはない。
 ……と、それっぽい文章で締めさせてもらいました。
 以上です。

引き出しの中を断捨離する

f:id:juju68-sn:20181216161245j:plain

 

 机の引き出しを開けてみると、ゴチャッと文房具やら書類やら、わけのわからない小物類が詰まっている。今回はこれらをまとめて、断捨離したいと思う。
 それにしても、よくもまあ溜め込んだものだ。未使用の鉛筆が数十本。これまた未使用のたくさんの消しゴム。輪ゴムの束。たくさんのシール。絆創膏。スティックのり数本、テープ、ボールペン、メモ帳、ホッチキスにカッター、小型ドライバーセット。とか色々。
セロファン・テープなんて、コレいったい、いつ買ったやつだろう?
 匂いつきやら、キャラクターの形をした、たくさんの未使用の消しゴムは、確実に小学生の時に集めていたものだ。当時、流行っていたのである。今となってはどうするんだ、こんなものという感じだが。そもそも社会人になってから、消しゴム自体使うことがない。
 使わないといえば、鉛筆もそうだ。シャープペンがある今、わざわざ削らねばならない代物を、使う気にはなれない。ためしにしばらく前から、家の中でだけ鉛筆を使ってみることにしたけど、常に芯がとがってないと気持ち悪いので、ことあるごとに削らなきゃいけなくて、まぁ、使いにくい。しかもすでに自動鉛筆削り器もないからなおさらに。あらためてシャープペンシルのありがたさを感じた。
 あとはホッチキスも、とんと使った記憶がない。クリップ、ピン、バインダーとか、細々としたものも、あれば困らないんだろうが、個人宅では滅多に使わないものだ。
 ハサミ、カッターはまだ使用頻度が高いからいいとしても、ペンチとか小型ドライバーとか、忘れた頃にかぎって、要りようになるものは、本当に困る。
 そう、文具類がやっかいなのは、忘れた頃に必要になることなのだ。これがために、なかなか捨てられない。
 そのうち、まぁ、持っておいてもいいか、という気になって、引き出しに放り込んだままにしているうちに、いつしか忘れてしまい、そして溜まっていく。
 しかし今回はそういうわけにはいかない。己の内面をリセットするためにも、何としても、これらを処分しなければならないのである。
 こんな時に参考になるのは、今回、断捨離に祭して、チェックしておいた、動画だったり、ブログだったりで、よく聞かれる「とにかく、迷ったら捨ててしまう」という言葉。
本当に必要なもの以外は、とにかく捨ててしまう。それが大事なのだ。
 迷っている暇はない。今の私に必要なのは、リセットすること。身辺、および心身をすっきりと整理すること、なのだから、そのためには捨てるしかないのだ。
 ということで、一年に数度しか使わないものもふくめて、今回はまとめて処分してしまった。おかげで引き出しの中は、本当に数十年ぶりにすっきりした。

CDを捨てる

 

f:id:juju68-sn:20181208143055j:plain


本に続いて、CDも捨てることにした。これもまた一時期、バカみたいに買っていて、枚数にすると、ゆうに千枚近くはあるだろう。
 塵も積もれば山となる。さすがにこれだけあると、本当に場所をとって邪魔だし、重い。何より引っ越しの時とかうっとうしくてたまらない。というわけで処分決定。
 でも本の時より、心理的負担は小さいかな。というのも、圧縮音源として、iTunesに全部リッピングしてあるからだ。処分したところで、いつでも聞けるという安堵感がある。
 お気に入りのアルバム数十枚を残して、あとはホイホイっと断捨離していきました。

 しかしそうはいうものの、ここ最近ではそうしたパソコン内に取り込んだ圧縮音源を聴く機会もなくなりつつある。
 というのもspotifyとかapple musicとか、ストリーミング配信サービスが充実してきているからだ。手軽だし、中身も豊富だし、音楽を聴くなら、そちらの方が断然にいい。
 特におもしろいのは、おすすめ、としてこちらの好みに合わせて自分のまだ知らない、最新の、または過去の楽曲が紹介される機能だ。新たな発見があって、そうしたものを追っているだけで時間が過ぎていくし、足りないくらいだ。iTunes内の音源を聞いている暇などない。
 思えばここ10年以上、最新ヒットというものにまったく興味がなくなって、溜め込んだ過去の音源ばかりを繰り返し聞いていた。それで十分だと思っていた。
 それがここへきて新しい音楽を探し、発見する楽しみを持てるようになったのは、すべてspotifyのおかげなのだ。

 そのようにリスニング・スタイルが変化すると、ためこんだ圧縮音源もいらないような気がしてくる。
 断捨離がくせになると、身の回りだけでなく、パソコン内も整理したくなってくるのだ。何より、ハードディスクのかなりの割足を占めるそれらは、はっきり、邪魔な存在と断言していい。いっそこれも断捨離してしまおうか。
 それにしても、こういう風に考えるようになるなんて、以前の自分ならば考えられないことではある。
 もはやモノを所有するという時代は過去のものとなりつつあるのかもしれない。シェアリング、共有するという考え方こそがこれからのスタンダートとなるのだろう。
 思い起こせば、身一つで、世界中、どこへでも気軽に飛んでいく、そんなライフ・スタイルに昔からあこがれていたものだ。だからこれでいいのかもしれない。
 身も心も身軽になって、残りの人生、軽やかに生きたいものだ。