コーネリアス の「Mellow Waves」 を聴きました

Mellow Waves


 いつのまにか新譜が出ていたんですね。何と11年ぶりのオリジナル・アルバムということで、どんだけまたせるんだよ、という感じですけど。
 まぁ、コーネリアスこと小山田くんは、バンドサポート、サントラ、プロデュースなどなど、手広くやっておりますからね。ひさしぶりという感じもなく、現役感はありましたけれど。
 私も以前は好きだったんですけど、世界的に評価が高まってきた「point」あたりから、実は疎遠気味。どうもピンとこなくなってきて、今作も最近まで出ていたのを知らなかったくらい。
 で今回、Spotifyで無料で聞くことができたので、耳をかたむけてみたわけです。
 正直、ひととおり聴いたみた感想は、退屈、の2文字でした。また、このサウンドか、という感じで、「point」「sensuous」をひきつぐこの音にはもう飽きていたんです。

 

 でもそうは言いつつも、さすがにすみずみまで神経のいきわたった音作りは見事なもので、何回か聴いているうちに、悪くないな、という風に思えてきました。
 さすがに小山田くんも流行りの音に目移りして、色々やってみる時期をすぎ、ひとつの音色を追求する、そうした年齢になったのかもしれません。それはそれで素晴らしい選択だと思います。そうした意味では、さらに深化したコーネリアス・サウンドが展開されていました。

 

 そして今作でよかったのは、歌モノでしょうか。とくに前半。ひさしぶりにボーカルが中心にある曲作りで、あらためて小山田くんの声の魅力に気づかされました。ぼそぼそとつぶやくような、決して技巧的にうまいという種類のものではありませんが、落ちつくというのか癒される声なのです。
 けれど本人は自分の声が好きでないようで、インタビューでそのような発言をしていましたが、まったくそれは見当違いというものでしょう。
 私にかぎらず、多くの(というかすべて)のファンが好きなはずなので、えんりょせずに、どんどんと歌ってほしいものです。
 作詞は今作ではいくつか、他人に任せているようで、それもいい方向に作用しているものと思われます。
 というわけで、次作はさらに歌ものを中心につくってほしいなぁ、と思ったのでした。

 

 

Mellow Waves

Mellow Waves